2015年10月8日木曜日

森を活かし、人を活かす


10月6日、「NPO法人青森バイオマスエネルギー推進委員会 株式会社高橋」を訪問する機会に恵まれた






株式会社高橋(以降「(株)高橋」)では、材木店より出た端材や間伐材等、建材として使うことができないような木材を粉砕、圧縮し、”木質ペレット”という固形燃料に加工したものをつくっている。原料は全て青森県産材である。ペレットストーブは、燃焼する過程で二酸化炭素を排出するが、樹木が成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化対策にも寄与する化石燃料に変わる再生可能エネルギーとして注目をあつめはじめている。
木が使われることで、山に入る人も増え、管理が適切に行われるようになる。家庭用のストーブも利用は増えているが、農業ハウスや施設の用のペレットボイラーは更に需要が高まっているという。

以前は地域の材木も建材として活用されていたが、最近は大手メーカーの新建材を使う工法が広まってからは、地域の木材が使われなくなり、材木店の経営も厳しくなっているそうだ。材木が売れないことによって、人が山に入る機会も少なくなり、山は放置され、荒廃がすすむ。
建材として使うことができない木も利用される
良質のペレットをつくるために工夫された工場
木粉も集められ、再度、工程に入れられる。
マスクをする必要もない。
皮が入らないペレットは燃焼効率がよく、色藻白い


これからの循環型社会を象徴したブランド品として
「青森みらいペレット」と名付けられている
(株)高橋では、熱量が高く、灰も少ない良質のペレットづくりに力を入れると共に、環境に配慮した持続可能な地域循環型のシステムづくりも目指す。NPO法人しんりんが発行する「森券」という地域通貨の利用も推進する。「森券」は、森林整備、森林環境保全、森林資源の有効活用のために流用しようという主旨に賛同し、ペレットストーブを置く店舗で使うことができる。

また、エコを追求したエネルギー利用にも注目したい。機械を動かす動力には、屋根や敷地内に設置したソーラー発電を使い、にしている。質のよいペレットを作るために皮の部分は使わないので、皮の部分も機材を動かす動力にまわす。それでも足りない部分は、福祉作業所で回収した家庭や施設から出た廃油を使う。
それらのシステムを考えだしたのは、高橋社長の奥さまだそうだ。
女性の生活目線をエコシステムに活用する。
敷地内にはソーラー発電も設置されている

廃油を使ったバイオ発電も利用。廃油は地域の福祉作業所から購入する

新たに、日本ミツバチの飼育や映画づくりに取組みたいと夢が広がる高橋代表と
しっかり地に足をつけた生活目線をもって事業をささえる奥様

建材として使えない部分も、杭としては使える部分は利用され、
最終的に粉砕しないと使えないもののみペレットとして利用される


補助金に頼らず、自己採算で事業を運営する。
サスティナブル社会の可能性を模索する株式会社高橋の取組は、青森だけでなく、日本を牽引する取組でもあるだろう。