2014年12月6日土曜日

南三陸町の林業・木材の可能性~人口減少に負けない復興~


FORTUNE宮城編集部 智恵です。
11月8日(土)に南三陸まなびの里『いりやど』さんで行われた
南三陸町の林業・木材の可能性~人口減少に負けない復興~
の、パネルディスカッションを見学してきました。

















意外と言ったら失礼かもしれませんが、会場に入ってみると
若い人が多かった印象を受けました。




















今回お話しいただいたパネリストの方は

●(株)佐久の佐藤太一さん

●丸平木材(株)の小野寺邦夫さん

●南三陸復興ダコの会の阿部忠義さん 

●コーディネーターの川廷昌弘さん


こちらの4名です。
まず私が思った素朴な疑問。。。
南三陸町って海のイメージないですか?
今回のフォーラムのテーマもですが、みなさんの口から
『南三陸を森から語る』というワードを何度か聞きました。
聞くところによると、南三陸は分水嶺に囲まれた町で杉の適地だそう。
海のイメージが強くありますが、南三陸の77%は森林なんです!!















とがで繋がり、連環する町
代々林業を営み、自分で12代目だという佐藤さんが
そうおっしゃいました。
この言葉ステキ♪気に入ってます♪
もっとお気に入りはこれ!!

『南三陸町 町民憲章』

海のように広い心で

魚のようにいきいき泳ごう

山のように豊かな愛で

繭のようにみんなを包もう

空のように澄んだ瞳で

川のように命をつなごう


大きな自然の手のひらに

抱かれている町 南三陸

う~んステキ♪地元愛を感じます。

【南三陸杉】というブランドで農林水産大臣賞をもらったのが
2011年3月1日。そのたった10日後に東日本大震災が発生。
あまりに多くのものを失い、悲しみに暮れる小野寺さんに
当時の佐久の代表(佐藤さんのお父さん)にこう言われたそうです。
「会社もなにもダメになったけど、森は大丈夫だから!」
「えっ!?」っと、この発言には驚いたけど「あぁ~・・・たしかに」
と、変に納得しちゃったそうです(笑)
今では、他のものにはない≪杉の良さとはなにか≫を追及し
 南三陸だけでなく、全国の杉にこだわる!!と意気込んでいました。




















私も知らなかった杉の意外な魅力。。。
みなさんにもぜひ知ってもらいたい!!

■光合成を行うことにより、二酸化炭素を吸収し酸素を放出することを繰り返す

■空気清浄効果

■軽くて強い

■調湿作用・殺菌作用

■免疫効果を高める

■杉の香りにはリラックス効果・安眠効果がある

■赤身材は水に強く、不朽性あり

■家に使うと、夏は涼しく冬はあったかい
 (杉は常に呼吸し、夏は湿気を吸収・冬は乾燥を外へ出してくれる)

などなど・・・杉ってとっても魅力的じゃないですか!!
ほんとこの仕事を始めて、色んな事を知ることができ
嬉しい反面、いかに自分が無知か思い知らされます。

最後にお話しいただいた阿部さんは
復興ダコの会以外にも、廃校になった中学校をリノベーションした
【Yes工房】の代表、そして入谷公民館の館長さんでもあります。
とてもユニークな方で、ダジャレ好き。笑
Yes工房の由来も『廃校工房』『はい工房』『Yes工房』
うん。ダジャレですね。決して嫌いじゃないです♪
そんな阿部さんもまた、震災で多くの物をなくした方の1人。
子どもの頃から物作りが好きで、夢だったモノづくり工房
完成させ、夢が実現した2011年2月。
そのわずか1ヵ月後に震災が発生し、阿部さんの夢の工房は
津波によってめちゃくちゃに破壊されてしまいました。
計り知れないほど多くの物を失った阿部さんが
また立ち上がることができたのは、避難所での生活で
助け合って生きることの大切さを学び、多くの支援を受け
信頼できる仲間が、大きな力になったからだと言います。

『シャレでも言わなきゃ、やってられないって!!』

そう語る阿部さん。
阿部さんのダジャレは、そんな気持ちからきてるのかな?
そう思うと、少し悲しくなりました。

オクトパス君をはじめ、5を書く定規(合格定規)、オクトパシ(箸)
スレートde合格(ストレートで合格)などなど、まさに
シャレのきいたグッズを色々作ってらっしゃいます♪

≪笑いで社会を明るく元気にする新ビジネス≫
創シャレ・ビジネス

それが、阿部さんのモットーのようです。
















会場は終始、笑いの絶えないなごやかな雰囲気でした。
今回会場にいらした若い世代の方たちも、私と同じように
というか私の何倍も、考えさせられるところがあったでしょう。
「復興と木材」 こちらに参加するまでは
いまいちピンとこなかったこの2つの言葉。
でも3人のお話を聞いて、たくさんの可能性を感じることができました。
なにより、あの震災から立ち上がり【町のため】【復興のため】
情熱を燃やす方たちの心意気に私も胸が熱くなりました。
震災がもたらしたものは、全部が全部悪い物ばかりじゃない!!
あらためてそう思いました。



 
 

"こだわる"ということ~顔晴る男たち~


FORTUNE宮城編集部 智恵です。
11月21日(金) 平成26年度みやぎ地域づくり団体協議会
登米支部交流会(現地研修会)へ行ってまいりました。

バスに揺られること1時間半。塩竈市にある
【顔晴れ(がんばれ)塩竈】さんに到着。




















恥ずかしながら私、塩竈に来るのは初めてで
前日から楽しみすぎて、まるで修学旅行気分でした。
着いてみるとそこは、少し奥まった所にあり
気付かないで素通りしてしまいそうなほど
こじんまりとした建物でした。
私の想像していたのとは少し・・・いや、だいぶ違いました。
そして今回お話ししていただいた、及川さんですが・・・

真ん中にいるのが及川さん♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これまた私の想像とは少し・・・
いや!!!だいぶかけ離れたコワモテな方。
いい意味で予想を裏切られ、先制パンチをくらった私は
ますますワクワクしてしまいました。
中に入ると・・
 
こんな感じで、大きな釜があります。
そして、なんとも独特なニオイがします。
焦げ臭いともまた違う、不思議なニオイ。
こちらの【顔晴れ塩竈】さんは、昔ながらの製法で
藻塩を作っている会社です。9年前、起業家たちの集まる会議で
「塩竈は塩の聖地でありながら、ご当地の塩がないのはおかしい!!!」
と言われ、サンプルを作り料理屋さんやお菓子屋さんに
配ったところ、好評だったのをきっかけに始まった。
2009年4月10日の火入れは、多くのメディアが報じたという。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
塩竈は昔から塩づくりがさかんで、3000年前の縄文集落が
発掘されたとき、塩を作ったとみられる土器【製塩土器】
発見されたほど。その歴史は神代までさかのぼり
塩土老翁神という神様が現地の人に製塩を教えたとか。
塩土老翁神鹽竈(しおがま)神社にいる神様の一人で
海の神様であると同時に、安産の神様でもあるという。
潮の満ち引きが、生命の誕生に関係があるのではないか
というところかららしい。
鹽竈神社では毎年7月4日~6日【藻塩焼神事】を行い
それは奈良時代の塩づくりを伝える貴重な神事として
宮城県無形民俗文化財に指定されています。



























ちなみに、この藻塩焼神事で使われている≪神釜ですが
日本三奇の一つで、様々な伝説があるようです。
中の海水は、どんな日照りの時でも枯れることがなく
また大雨や台風でも水が溢れることはない。
そして、この神釜の中に入っている海水は
大異変の前触れとして、必ず色が変わるといいます。
あの東日本大震災のときも、色が変わったとか。
まさにミステリーゾーン・・・。
塩竈と塩。ここまで深い関係があったとは知らなかった。
そして、水と同じくらい塩も生きていく上で
必要不可欠だということを初めて知った。

『昔は塩とお金が同じ価値だった。』

この言葉にも納得できる。

 



煮詰めた塩をすくいあげる作業を体験させてもらいました。
シャリシャリでシャーベットみたいだった。

手間ひま惜しまず作るこちらの塩はなんと1㌔4600円以上!



特大サイズの塩の結晶!!




















贅沢に、ゆで卵につけていただきました。





















素人の私でもわかるくらい、おいしさが違います。
しお辛くないといいますか、まろやかといいますか・・・。
うまく言葉で表現できないのが悔しい・・・。

こちらの顔晴れ塩竈さん、震災・津波の被害にあいました。
津波が去り、及川さんがようやく店を見に行くと
店の中には神棚と釜しか残っていなかったそうです。
しかし及川さんは
「神様が神棚と釜と残してくれた!!」
そう思ったそうです。
津波は、神棚のわずか1センチ下でピタリと止まっていました。
「やめるわけにいかない!!」そう思わずにはいられなかったようです。

























「このスタイルじゃなくても塩はできるんですよね?
津波の被害もあったのに、やめようと思ったことないんですか?」

私のこの質問に及川さんは「ありません!!」
間髪入れずに、そうおっしゃいました。
震災後いろいろなところから、塩を作る機械や物資の支援が
あったそうですが、すべて断ったそうです。

「このやり方じゃなきゃ意味がないんです!」

「神棚と釜を残してくれた神様に怒られます!」

心底かっこいいと思った。
「~にこだわって」とかよく聞くけど、こんなにも強い
≪こだわり≫を感じたのは初めてだった。




















こういう機会がなければ、一生知ることはなかったでしょう。
藻塩にこめられた、職人の情熱と心意気を。
たかが塩。されど塩!!
帰りに、小さな袋に入ったこちらの塩をもらった。
大事に食べようと思う。
できれば高級なステーキとかに使いたい。無理だけど。
及川さんの話し方は独特で、私はだいぶ引き込まれてしまった。
また今度遊びに行きたい。
できれば真夏の汗だくの作業風景を見たいと思った。