2015年4月27日月曜日

春を楽しむ

2015年4月26日

宮城は春爛漫。
ゴールデンウイーク前ではあるけれど、春を楽しむ会が各地で開催されています。
「東北風土マラソン」は、フランスのメドックマラソンに企画協力いただいて、2014年から始まったおたのしみマラソン大会です。

会場は大賑わい。晴天の下、会場では、皆、それぞれに楽しんでいました。 メイン会場の長沼フートピア公園だけでなく、その周辺地域もコースになるこのマラソンでは、沿道の人も近隣、親戚で集って宴会しながら、応援。時にはランナーがはまることも。

走る人は走る。
コスプレする人はコスプレ。
ピクニックを楽しむ人。
食もお酒も充実。
子どもも 宮城県の人気キャラと一緒に写真をとってお楽しみ!

人の楽しむ能力はすばらしい。






ちなみに、近くには「ヴィーナスの湯」という温泉もあります。

※【メドックマラソン】
赤ワインで有名なボルドー、メドック地方で、ぶどうの収穫直前の9月に開催されるフルマラソン。 仮装ランナーが、ぶどう畑の中に設定された1周コースを走る。 ステーションでは、ワイン、オイスターやステーキ、チーズ、ハムといった食を楽しめるポイントも設置され、マラソンはさながら広大なパーティー会場。


 by 河崎清美




2015年4月13日月曜日

活性化する林業@南三陸町


4月11日(土)、南三陸ポータルセンターにて、一般社団法人さとうみファーム主催の森と人と海の関わりについてのセミナー、「南三陸の豊かな海を活かす為に今必要なこと」が開催された。

始めの挨拶は南三陸町の材木屋「株式会社 佐久」の若き取締役、佐藤太一さん。
「(南三陸町で)いろんな林業スタイルが生まれて来て欲しい」、「いろんな林業が試せる場所になって欲しい」、「林業仲間が増えてくれると嬉しい」との言葉からは林業を開いたものにし、その可能性をさぐろうという熱い想いが伝わって来た。
佐藤太一さんは、森林ツアーや勉強会も開催し、森と人をつなぐ仕掛けづくりもしている


続いて前半は、NPO法人森は海の恋人副理事長の畠山信さんから山と海の関係性のお話。

山の栄養が海に流れていくので、山が豊かなら、海の生物も豊かになるという話しはよく聞くけれど、その理由は良く知らなかった。その秘密は食物連鎖。1kgの鰹が育つために元をたどると、1t(トン)の植物プランクトンが必要だというのを聞いた。その植物プランクトンが育つためには、光、水、栄養素(窒素、リン酸、カリウム)に「フルボ酸鉄」が必要だという。その「フルボ酸鉄」は海水にはなく鉄分は海水には含まれていない。山の腐葉土や湿地帯に含まれ、川や地下水から海に流れて行く。






NPO法人森は海の恋人 では、環境教育、環境保全、生物調査、環境調査と同時に森づくりも開催している。
その中でも、一番力をいれているのが、環境教育だそうだ。「自然環境は住んでいる人の心持ちで良くも悪くも変わる。」と畠山さんのお話。
津波の後、気仙沼湾には1mくらい油と水が合わさったような層があったそうだが、1年後にはきれいになっていたという。地形も変わったそうだが、悪いことばかりでもない。地盤沈下で、干潟ができ、新たなビオトープになったり、川に魚の隠れ場所が増え、ウナギも増えたという話しもあった。自然の力は偉大だ。

「先代の背中を見て育ったという畠山さんは子供達に恥ずかしくない
背中を見せたい」、「次世代が何かしたいと思った時、
”活動するための余地”を残したい」と語る畠山さん

続いてNPO法人土佐の森・救援隊理事長の中嶋健造さんから林業についてのお話を聞いた。最近、森にスポットをあてたイベントが各地でよく開催されている。考えてみれば、農業についての取組も本も沢山ある中、森林についてはあまり話されていなかったのが不思議だ。日本の国土の7割は森林だというのに。


日本が放置林だらけ。なぜそうなるかというと、「採算が合わない」からだ。日本の林業が低迷しているのは、国の施策が大規模集約化をすすめてきたからだという。所有者、または管理者自らが森に入らず、森林組合や一部業者に管理をまかせ、大型機械を使う林業は、作業道も広いものが必要になる。運営に膨大な作業と資金が必要となり、一度始めるとなかなか止められくなるという。国や県が補助金を投入してどうにか成り立っている。中嶋さんが薦めるのが「自伐型林業」。”自伐型林業”は、「森林経営・管理・始業を自ら行う林業(限られた森林の持続的管理と、その森林を離れず、その森林から毎年収入を得て行く林業)で、自立・自営の林業。所有と施業を極力近づけた小規模分散型、地域経営型林業」(中嶋さんのプレゼンテーションより)だという。

森の管理、森林経営は本来100年単位で考えるもの。50年に一度の伐採ではなく、持続性を重視した長期的森林経営を展開するには、企業経営よりも、家族経営、地域経営で管理する方が合っているという。その方が森に対する愛情も育まれ、目が行き届くことにもなる。機材も小型のもので充分であり、道幅も小さくので環境破壊も少ない。そして、収入も十分得られるので、国や県の補助金、つまり私たち市民の血税をつぎ込まなくてもよいのだ。

実際にNPO法人土佐の森・救援隊の周辺での
成功事例を紹介する中嶋さん

木の伐採だけでなく、木材を使った製品づくりや、ノウハウを伝える体験教室なども取り入れ、森を包括的に活用しようとしている。実際、若者、女性も林業運営をし、やりがいと収入を得ている実例を紹介していただいた。

中嶋さんのお話の後の質問タイムでは、時間を過ぎても、地元の方から質問が相次ぎ、来場者もよい刺激を受けたようだった。

by 河崎清美

























2015年4月1日水曜日

「地域資源を活かす」藻谷浩介氏、南三陸町で語る


3月21日、南三陸町ポータルセンターで開催された藻谷浩介氏の講演に行って来た。
藻谷氏は「里山資本主義」の著者で地域エコノミスト。日本政策投資銀行参事役を経て現在、日本総合研究所主席研究員。長年、地域経済再生のために全国で提言を続けている。
全国の市町村、海外も59カ国訪問しているとのこと。それも繰り返し行かないと意味はないという
充実した資料収集、データの読込み、分析、そして自ら現地に赴き自らの目で見て確認した上ての話しは説得力があった。


今、日本経済が低迷しているのは、”循環・再生の不全”が問題だという。もう少し細かく言うと、少子化による社会の縮小、エネルギーの使い捨て、資本の停滞(貯蓄)、土地、建物利用の停滞など。



【地方は資源の宝庫】


 私たちは知らず知らずのうちに県外/国外産の安いものを求め、資金を県外に出しているのではないか、と問いかけられた。確かに、車を使えばガソリンを使う。電気を使えば、火力発電で油を使う。原子力発電で消費されるウランも輸入している。近年、パスタ、ワイン、小麦粉の消費量は増え、豆腐の原料の大豆や、家畜飼料も輸入していると聞く。間接的な消費も含め、食の面でも多いに海外に依存している。

 森林資源をうまく利用しているのがオーストラリアだという。年間で自然に再生される森林資源の70%を利用、エネルギーも補い、集成材に加工された建築材は、低層・中層建築に使われる。年間に1兆円弱の木材資源を輸出し、外貨を稼ぎ、林業は収入の高い職業として若者に人気があるという。

そう考えると、日本の里山は資源の宝庫だ。
日本の地方は、森林も、耕作できる土地もある。海に近ければ、海洋資源も豊富。しかし、その豊富な資源も活用する人材がいないと何にもならない。
企業の森として利用されている南三陸町の杉林




【人口減少は足下から】


 三陸沿岸部は震災で人が流出し、人口減に陥ったというが、では、震災が来ていなかったら問題はなかったのだろうか?答えは「否」。「国立社会保障・人口問題研究所」(http://www.ipss.go.jp/)の統計によると、南三陸町の場合、2010年に17,430人だった人口が2020年には14,450と予測されていた。そのうち65歳以上がしめる割合が、2010年には約30%、2020年は約35%だ。少なくなる総人口のなかで、高齢者の割合は増える。若者が仙台や首都圏の大都市へ出て帰ってこないという現象は震災後に始まったことではない。




 では、若年、働き盛りの若い年代が大都市に流入するのを大都市は良しとするべきなのかというと、それも「否」。東京都の場合、2010年に1,316万人だった人口が2020年には1,331万人になると予想されていた。総人口は増えているが、0-15歳、15-64歳の人口は減っている。つまり、65歳以上が増えるのだ。若い人が大量に流入する都市では、一時的には良くても、皆同時に歳をとる。高度経済成長期に人気だった団地がこぞって高齢化しているとも聞く。そんなものだろう。

 65歳以上の高齢化率が高いのが、札幌市、福岡市、広島市、仙台市などの政令指定都市や首都圏の大都市。現役世代が低いのは、一次産業を基幹産業にする地方ばかりかと思えば、意外と大都市に近い交通の便がよく、比較的暮らし易いと思われている町もそうなのだ。より便利な大都市に人は流れて行く。

 今、被災地では勉強会や体験ツアーなどで、伝統や文化をつなぐ活動や地域資源の再発見が活発におこなわれている。大震災のダメージを乗り越えて新たにつくられるまちはより力強いものになっていくだろう。


by 編集長 河崎清美