4月11日(土)、南三陸ポータルセンターにて、一般社団法人さとうみファーム主催の森と人と海の関わりについてのセミナー、「南三陸の豊かな海を活かす為に今必要なこと」が開催された。
始めの挨拶は南三陸町の材木屋「株式会社 佐久」の若き取締役、佐藤太一さん。
「(南三陸町で)いろんな林業スタイルが生まれて来て欲しい」、「いろんな林業が試せる場所になって欲しい」、「林業仲間が増えてくれると嬉しい」との言葉からは林業を開いたものにし、その可能性をさぐろうという熱い想いが伝わって来た。
佐藤太一さんは、森林ツアーや勉強会も開催し、森と人をつなぐ仕掛けづくりもしている |
続いて前半は、NPO法人森は海の恋人副理事長の畠山信さんから山と海の関係性のお話。
NPO法人森は海の恋人 では、環境教育、環境保全、生物調査、環境調査と同時に森づくりも開催している。
その中でも、一番力をいれているのが、環境教育だそうだ。「自然環境は住んでいる人の心持ちで良くも悪くも変わる。」と畠山さんのお話。
津波の後、気仙沼湾には1mくらい油と水が合わさったような層があったそうだが、1年後にはきれいになっていたという。地形も変わったそうだが、悪いことばかりでもない。地盤沈下で、干潟ができ、新たなビオトープになったり、川に魚の隠れ場所が増え、ウナギも増えたという話しもあった。自然の力は偉大だ。
「先代の背中を見て育ったという畠山さんは子供達に恥ずかしくない 背中を見せたい」、「次世代が何かしたいと思った時、 ”活動するための余地”を残したい」と語る畠山さん |
続いてNPO法人土佐の森・救援隊理事長の中嶋健造さんから林業についてのお話を聞いた。最近、森にスポットをあてたイベントが各地でよく開催されている。考えてみれば、農業についての取組も本も沢山ある中、森林についてはあまり話されていなかったのが不思議だ。日本の国土の7割は森林だというのに。
日本が放置林だらけ。なぜそうなるかというと、「採算が合わない」からだ。日本の林業が低迷しているのは、国の施策が大規模集約化をすすめてきたからだという。所有者、または管理者自らが森に入らず、森林組合や一部業者に管理をまかせ、大型機械を使う林業は、作業道も広いものが必要になる。運営に膨大な作業と資金が必要となり、一度始めるとなかなか止められくなるという。国や県が補助金を投入してどうにか成り立っている。中嶋さんが薦めるのが「自伐型林業」。”自伐型林業”は、「森林経営・管理・始業を自ら行う林業(限られた森林の持続的管理と、その森林を離れず、その森林から毎年収入を得て行く林業)で、自立・自営の林業。所有と施業を極力近づけた小規模分散型、地域経営型林業」(中嶋さんのプレゼンテーションより)だという。
森の管理、森林経営は本来100年単位で考えるもの。50年に一度の伐採ではなく、持続性を重視した長期的森林経営を展開するには、企業経営よりも、家族経営、地域経営で管理する方が合っているという。その方が森に対する愛情も育まれ、目が行き届くことにもなる。機材も小型のもので充分であり、道幅も小さくので環境破壊も少ない。そして、収入も十分得られるので、国や県の補助金、つまり私たち市民の血税をつぎ込まなくてもよいのだ。
実際にNPO法人土佐の森・救援隊の周辺での 成功事例を紹介する中嶋さん |
木の伐採だけでなく、木材を使った製品づくりや、ノウハウを伝える体験教室なども取り入れ、森を包括的に活用しようとしている。実際、若者、女性も林業運営をし、やりがいと収入を得ている実例を紹介していただいた。
中嶋さんのお話の後の質問タイムでは、時間を過ぎても、地元の方から質問が相次ぎ、来場者もよい刺激を受けたようだった。
by 河崎清美
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