7月1日、南三陸町からの一行は石巻で活動する「巻組」の事務所を探していた。その店の店主さんは「よくみなさん、ここでわからなくなるんですよね」 と言いながら丁寧に案内してくれ、「巻組」代表の渡邊享さんに会うことができた。
昭和の商店街の町並みが残る石巻の街中。家と家が密集する間を抜けて小さなドアを通ってお店の隣の建物へ入り、 年代を経た古い木の階段を上がり、元は和室だったらしい開けた空間に案内していただいた。
壁は抜かれて、昭和の匂いを残しながらも大勢の人が集える空間になっている |
巻組の今までと今の活動を渡邉さんより紹介していただく |
「巻組」http://makigumi.com/makigumi%20_book.pdfは、震災後、石巻で様々なプロジェクトを生み出してきたISHINOMAKI2.0で活動していたデザイナー、プランナー、建築家がメンバーとなり設立した合同会社。
昭和の終わりには18万人を越える人口があった石巻の駅前には、広い商店街が広がる。しかし、その多くが今では、シャッターが降ろされたままである。使われているようなところも、店舗だけ使い、住まいは郊外の広い家に移した2階より上は使われていない、或は、そこに住んではいるものの、店舗は閉めているケースもある。元々人口減少であったのが震災後加速しているのは、被災地はどこも同じ状況だ。統計をみると、その中でも15~64歳の「生産者人口」は減っているが、65歳以上の「高齢者」は増えている。
「巻組」は、そんな町の空洞化に歯止めをかけ石巻に留まる人を増やすため、リノベーション可能な物件を探し、短期でも生活でき低料金で借りることができるシェアハウスをつくったり、店舗のデザインを手がけている。また、 今年の3月末にオープンした新しいコンテナ商店街「橋通りCOMMON」のプロデュースにも関わってきた。リノベーション現場には地元の大学生や若者も関わり、石巻を見直すきっかけにもなっている。
現在進んでいるプロジェクトとしては、「 一般社団法人FISHRMAN JAPAN(フィッシャーマン ジャパン)」http://fishermanjapan.com/と恊働で進める「TRITON PROJECT(トリトン プロジェクト)」http://triton.fishermanjapan.com/top.html、カッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」の漁師を増やすための基地を各浜につくろうというプロジェクトだ。そこは、ちょっとした研修施設としても使えるような機能も持たせ、漁師になることに興味を持つ人が住め、漁業体験ができるような、また、若い漁師さんが集ってコミュニケーションがとれるような拠点にしたいという。現在、FISHRMAN JAPANには塩釜から南三陸町まで12人の若い漁師さんが参加。そして、10年後には、漁師を1000人増やすという夢を持っている。
巻組と連携してTRITON PROJECTを進めるFISHRMAN JAPANの マネージャー、島本幸奈さんからプロジェクトの内容を説明していただく |
車座で自己紹介と質問タイム |
地方で 賃貸をすすめるには、オーナーとの信頼関係が一番必要なことであること、それでも契約はしっかり書類で交わした方がよいこと、シェアハウス運営初めは、住民の顔合わせのイベントを開催してコミュニケーションを図るのがよいなどいくつかポイントになることもお話しいただいた。
話のあとは、実際にリノベーションをした現場の視察に。お隣のシェアハウス部分の共用部分をみせていただき、街中へ。巻組としてのものだけでなく、それぞれに個性的に使われている店舗や事務所も案内していただいた。
シェアハウス「八十八夜」。 木造の内装をとりはらい、コンクリートの構造をみせる。 木作りの家具の温かさが一層際立つ。 |
あいにくの天気だったが、いざま街中へ。 |
大漁旗を使った小物を制作販売している「FUNADE(ふなで)」 もともとボランティアで石巻に来た有志が素人ながらにリノベーションした。 これがきっかけで、大工になり石巻に住み着いた人も。 流木や廃棄寸前のものがお洒落なデザインに変身する。 |
橋通りCOMMONへも足をのばす。コンテナやトレーラーは 青山(東京)から譲り受けたという。 |
FUNADEを改装した大工さんがここでも活躍 |
そして、石巻の街中を案内してもらったあとは、北上町十三浜のリノベーション現場へ。
現在まだ改築中 |
十三浜は南三陸町の隣に位置する。実は、石巻の街中よりも南三陸町のさんさん商店街に行く方が近い。南三陸町の人がリノベーションを実際経験してみるなら、この現場で経験することもできる。
「何か一緒にできるといいですね。」と話して別れた。
先日、medicaraさんの話を聞いた時も思ったが、リノベーション の現場は人と人をつなぐ役割もはたすようだ。
震災後、各市町村単位で復興への道筋をつけていくのに精一杯に見えたが、今の時期、草の根レベルで人と人がつながってきているように思える。
まだまだ展開は広がりそうだ。
by 河崎清美
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